桐箪笥とは
桐箪笥とは桐材を用いて作られた箪笥を指します。
以前は箪笥のすべての木材部分に桐材を用いたものを指していましたが、現在では材質の一部に桐材が使われていても桐箪笥としているものもあります。
防湿性
桐は湿気や乾燥に強いことや虫などをよせつけない性質を持つことから、大切な衣類を守る箪笥に用いるのに最適な素材とされてきたのです。
火災に強い
桐は木材の中で熱伝導が最小であるという性質も持っており、火災に遭って表面が焦げてしまっても箪笥の中身は無事だった、ということもあるようです。
防虫効果
絹織物を用いた和服などは特に虫による食害に注意しなくてはいけないので、現代ほど防虫剤が発達していなかった時代は、衣類の虫に強い桐箪笥に衣類を収納することで食害を防いでいたのですね。
桐箪笥のお値段
桐のタンスのお値段は幅が広く、押し入れ用のものなら3万円台から手に入るものが多いようです。衣装ダンスについても、ネットや量販店などでは5万円程度の値段のものが販売されています。
ただこういったリーズナブルな桐箪笥は、桐材が一部しか使われていなかったり、工場でライン生産されていたりするものが多いようです。
やはり、総桐作りで伝統工芸士の認定を持った職人が作った夫婦箪笥などはやはり80~100万円、塗りや細工によってはそれ以上、まさに「工芸品」に相応しいお値段となるのが相場のようです。
桐箪笥を専門に扱っているお店はショールームを併設しているところも多いので、桐箪笥の購入を考えているのであれば、一度実際の桐箪笥を見に行ってみるのがいいかもしれません。
桐箪笥は修理はできるの?
桐箪笥の修理は可能です(桐箪笥の修理は「再生」「更生」と呼ばれることもあります)。
修理が可能な理由
普通の木材で作られた箪笥は修理が難しいのに対し、なぜ桐箪笥は修理が可能なのかは、その構造の違いにあります。
普通の樫木箪笥が0.3ミリほどの板を貼り合わせて作られているのに対し、桐箪笥は3ミリほどの桐の板を貼り合わせて作られています。
In short 普通の木材の箪笥は使用されている板が薄いために削り直すことが難しいのに対し、桐箪笥は使用されている桐材の厚みが十分にあるため削り直すことが可能なのです。
修理を何回かすることを想定して作られている
貼り合わせた一番上の桐材を削ることによって汚れた状態、傷んだ状態を新品同様に修理することができるのですね。
もともと、桐箪笥は修理を何回かすることを想定して作られています。無垢の桐材は汚れやすいですし、どんなに優秀な職人さんが作った箪笥でも年月を経るにしたがって狂いや歪みが生じてしまうからです。
新品同様に生まれ変わることができる
貼り合わせた一枚分の桐材は2回削ることが可能であることから、桐箪笥は最低三回は削り直すことができます。削り直しのあとに塗装をし直してもらったり、金具を付け替えてもらったりすれば、新品同様に生まれ変わることができるというわけです。
百年以上使用可能
また、桐材は伸び縮みが少なく柔らかいという特質を持っていることも、桐箪笥の修理を可能にしています。桐箪笥自体はちょっとお高い買い物かもしれませんが、修理を重ねれば百年以上使用することができるということを考えれば、決して高くはない、一生モノの買い物だと言えるのはこういった理由もあるのですね。
桐箪笥の修理の相場は?
桐箪笥の修理の相場はおおよそ15万円程度のところが多いようです。
修理内容で値段が違う
修理に携わる職人さんが伝統工芸士さんかどうか、表面を削るだけでなく「時代仕上げ」(表面を年代が経過しているように加工すること)をするかどうか、修理する箪笥に金具が使用されているならその金具を交換するかどうか、などによって値段は大きく変動します。
複数業者から見積もりを
どんな修理をしてもらいたいかをよく考えたうえで、修理を請け負うお店のほとんどは見積もりを無料で出してくれますから、いくつかのお店から見積もりを取って比較してみるとよいでしょう。
また、桐箪笥のほとんどは大型で送料もそれなりに掛かりますから、そういった点も合わせて確認しておくとよいでしょう。
修理期間
修理期間は最低でも一か月程度はみておいた方がよいでしょう。
桐箪笥の内部に金箔などが使われている場合はそれを剥がす必要や、箪笥全体や引き出しを洗い出しし乾燥させる必要があるからです。
どれだけ有能な工芸士が作ったものでも年代を経れば箪笥全体が緩んできますから、そういった緩みを締め直すことも必要です。
このような工程や削り直しの工程、さらには塗り直しや金具の取り付けといった工程を丁寧に仕上げてもらうためには、それ相応の日数を掛けてもらうことが必要でしょう。
桐箪笥 まとめ
日本では昔から、お嫁入りの際の嫁入り道具のひとつとして桐箪笥がありました。
これは大切な晴れ着などの衣類を自分のためだけでなく子供のため、孫のために残そうという気持ちの表れでもありました。
桐箪笥は修理を40~60年に一度したとしても、100年以上は使用することができると言われています。
大切な桐箪笥を大事に使って修理して、自分の代だけでなく子の代、孫の代までのこしたいものですね。
【参考サイト】
https://www.kiritansu.biz/